市井人情江戸の華

時代小説というのは楽しいものですが、その中に「市井人情もの」というジャンルがありますね。

武士とか、浪人とかが主人公の市井ものというのもありますが(藤沢周平のよろずや平四郎など)、やっぱり町人が主人公というのが、本格市井ものという感じがします。

池波正太郎、山本周五郎、杉本苑子などの大物もいますが、ちょっと脇に除けていただいて・・・・・
藤沢周平さんも大物なんですが、「海鳴り」「獄医 立花登シリーズ」などの町人主人公の本格市井ものがありますね。

その他の作家では平岩弓枝(御宿かわせみシリーズ)、佐藤雅美(町医 北村宗哲シリーズ)、和田はつ子、今井絵美子などの作家にも面白いものが多いです。
宮部みゆきさんは、お初シリーズ、ぼんくらシリーズなどの市井ものがありますが、、どちらかといえば、ミステリー方面にウエートがかかっていますかね。
北原亜以子さんは「深川澪通りシリーズ」「慶次郎縁側日記シリーズ」が秀逸。

以前にこのブログでも紹介しました、高田郁さんの「みおつくし料理帖シリーズ」も市井人情ものとしてはおもしろい。しかし、料理人とか、葬儀人とか商売に頼っているところがちょっとね。おもしろさが別のところにありますね。

そのほかには、山本一力の作品が、市井ものといえるかどうかわかりませんが、庶民が主人公のものが多いですね。しかし、手に汗にぎるような緊張感のあるものも多く、ほのぼのとした市井ものという感じはしませんね。
「茜雲」くらいですかね。お豆腐屋さんのお話。

残る大物は、宇江佐真理。1949年生まれらしいですから、64歳ですかね。
何しろ、ウエザーレポートというエッセイを書きたいがために、宇江佐というペンネームを無理矢理使ったというのですからね。ダジャレがすきなのかも。
直木賞に確か6回以上ノミネートされているのですけどね。
残念ながらまだ受賞にいたらず。
宇江佐さんの作品もほとんど読破しているのですが、残敵掃討で探していたら、ありました。この「夜泣きめし屋」。
これは面白いです。
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宇江佐さんのは本当の意味での人情ものが多いのですが、その中でも出色といえるのではないでしょうか。
辰巳芸者と居酒屋親父のお話ですが、最後まで飽きさせません。
本日の会社への往復、全然退屈しませんでした。イッキイッキの一気読み。

辰巳芸者の出てくるものでは「髪結い伊三次シリーズ」のお文が有名ですが、この夜泣きめしに出てくる芸者も気ッ風がいいですね。
他の作品を順不同でずらーと並べますと・・・
*泣きの銀次シリーズ
*銀の雨(堪忍旦那 為後勘八郎)
*室の梅(おろく医者覚書)
   おろくというのは死体のこと、検死医者のことですね。
*余寒の雪
*甘露梅(お針子おとせ吉原春秋)
*涙堂(琴女癸酉日記)
*聞き屋与平江戸夜咄草
*古手屋喜十為事覚え
この作家の作品は長い名前のものが結構あります。一番長いのは・・・
*卵のふわふわ八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
というものです。江戸時代の料理本「卵百珍」にヒントを得たお話か。
その他、市井ものではありませんが、テレビドラマにもなった「雷桜」も面白い作品でした。

宇江佐真理、まだ読んだことがない方は、死ぬまでに一度は読んでみてください。
まずはこの「夜鳴きめし屋」あたりから・・・・

あそうそう、小説にスリルとサスペンス、興奮などを期待しているひとは期待外れですからね。
ただもう、淡々と坦々と単々と進みます。
そんなもの読んで何のやくにたつの?といわれましてもね。あまり役にはたたないですね。
でも面白かった。




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